理想の結婚
A−
An Ideal Husband,1999,オリヴァー・パーカー監督

 オスカー・ワイルドの『理想の良人』が原案のコメディである。舞台劇の作者として少しだけワイルドも登場する。1895年のイギリスの政界でティルダー(ジェレミー・ノーサム)は,人格高潔で誠実の権化とされ,将来を嘱望されていた。その夫人(ケイト・ブランシェット)もまたたいそう貞節で,夫婦仲がよい。夫妻が催した会に,来英していたオーストラリアの社交界で著名なティブリー夫人(ジュリアン・ムーア)が訪れる。ティブリー夫人は,ティルダーに,多額の投資をしているので,数日後の議会でアルゼンチン運河事業を有望だと報告して欲しいと頼む。ティルダーはもちろん断るが,ティブリー夫人は,過去に彼がスエズ運河の件で内部情報を流し巨額の富を得て,現在の地位を築いたことを知っており,その証拠の手紙を持っていると脅迫する。ティルダーの友人であるゴーリング卿(ルパート・エヴェレット)は,蕩児と呼ばれるにふさわしい何も考えない生活を送っている。ティルダーは事の次第をゴーリングにうち明ける。そして妻にもうち明けるが,妻は信頼を裏切られて放心状態になる。実は,ティブリー夫人はかつてゴーリングの婚約者だった。行き違いがあった後,ティブリー夫人は,ゴーリングに賭けをしようと言う。もし,議会でティルダーが,アルゼンチン運河事業を支持する演説をしたなら,ゴーリングは自分と結婚する,スキャンダルが暴露されることに構わず,妻からの尊敬を保つためにこの事業をけなしたなら手紙を返すというものである。では,そのような演説になるのか,がクライマックスである。そしてもう一幕がある。
 自尊心の強い人物達の間をのんきな男が取り持つ筋書きあるが,台詞は軽妙で,皮肉がよく効いているし,なかなかスリリングな成り行きで,先が読めない。誰が主役と言うわけではないという点でもよくできた脚本である。

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