ワンダとダイヤと優しい奴ら
A Fish Called Wanda,1988,チャールズ・クライトン監督

 舞台は,ロンドンである。ワンダ(ジェイミー・リー・カーティス)が集めた3人の男達が宝石店を襲い,1300万ポンド相当の宝石を奪った。宝石は,一時,秘密の場所に隠したのであるが,主犯のジョージが持ち出してしまう。一方,ワンダとその愛人のオットー(ケヴィン・クライン)は,ジョージを密告し,ジョージは捕まってしまう。しかし,隠し場所を聞き出さなければならないので,ワンダは,ジョージの弁護士アーチー(ジョン・クリース)に近づき,誘惑しようとする。
 主犯のジョージは,もう一人の仲間マイケル・ペリンに頼んで,車で逃走中に顔を見られ,唯一の証人となっている老婦人を殺すよう頼む。マイケル・ペリンは,いつも三匹の犬を散歩させている老婦人を大仕掛けな手段で殺そうとするというのが,一つの脇筋になっている。本筋は,ジョン・クリースを籠絡しようとするワンダの奮闘であるが,こちらは,嫉妬に燃えるケヴィン・クラインがどこにでも登場して邪魔をする。基本的には,小さなギャグを積み重ねているのであるが,モンティ・パイソンのおかしさも今では通じにくくなっている感がある。「バカ」と言われると怒り出す凶暴なケヴィン・クラインの愛読書がニーチェの『善悪の彼岸』なのだが,座禅は出入りの前に気を沈めるためのものと思いこんでいるといったことでは,爆笑とはいかない。ケヴィン・クラインが怪演しているのは確かであるが,目的をすぐ見失う連中の中で,一人頑張り,何でもするジェイミー・リー・カーティスの存在感のほうが大きい。

[索引]