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刑事法に関する資料・文献の探索法


 刑事法に関する資料・文献の探索方法については、
 

基礎から学ぶ刑事法, 第2版. 井田良. 東京, 有斐閣, 2002, 301p(ISBN4641121443).

 に詳しい。この本の第24章「資料・文献とその利用法」には、概ね以下のようなことがかかれている。


法律学における学術情報としては、法令、立法資料、判例、学説が重要である。

法令

 法令としては六法全書(有斐閣)が著名であるが、初歩的な知識として、以下のことを覚えられたい。

  1. いわゆる六法は民間の出版者が編集・出版しているものであり、大型六法でさえ、特に重要な法令を選んで集めたものに過ぎない。
  2. 法律などの国の法令は、政府によって毎日刊行される「官報」(財務省印刷局発行)によって公布される(六法の「法例」第1条参照)。
  3. 明治初年から現在までの法令(地方公共団体の条例を除く)を、公布された順に収録した公的刊行物として法令全書(現在では月1回、財務省)がある。


立法資料

 立法資料は、立法者ないし起草者が、どのような意図でその規定を作ったか、なぜその文言にしたかなどを直接・間接的に推認させる資料のことであり、法案の理由書、立法のための審議会の審議録、国会の委員会における討論の記録、条文を起草した法律家が書いた教科書など、様々な形態がある。現行刑法典については、制定過程の審議(当時の貴族院と衆議院における法案を巡る審議)の様子がまとめられた本として、「増補・刑法沿革綜覧」(信山社, 1990)がある。
 なお、最近の法改正については、法務省立案のものである限り、法制審議会刑事法部会における議論が、立法資料として参考になる。議事録は法務省ホームページ(http://www.moj.go.jp)で公開されている。


判例

 判例について詳細に書かれた総合的な文献は、中野次雄編「判例とその読み方[改訂版]」(有斐閣, 2002)がある。
 判例集には、公式の判例集と、民間の出版者が取捨選択し編集した判例集があり、区別の必要がある。公式判例集には以下のものがある。

 これらは最高裁判所や高等裁判所の裁判の全てを収録するのではなく、特に重要とされたものが選ばれて掲載される。
 重要な判例をいち早く紹介する雑誌として「判例時報」(判例時報社)、「判例タイムズ」(判例タイムズ社)があり、判例集に掲載されないものも紹介される。また、最高裁判所のホームページ(http://www.courts.go.jp)でも、最高裁判所刑事判例集に掲載された判例を検索し読むことができるし、最新判例の閲覧も可能である。
 判例は例えば

最判昭和33年9月9日刑集12巻13号2882項

 というように引用されるが、これは、最高裁判所の昭和33年9月9日の判決であり、最高裁判所刑事例集の第12巻第13号の2882ページ以下に載っていることを示している。なお、「最決」は最高裁判所決定であり、「最大判」は最高裁判所大法廷判決のことである。
 また、学習用に重要な判例を集め、解説を付したものとして以下のものがある。  最新の判例の紹介や解説は雑誌「ジュリスト」「法学教室」(有斐閣)などに随時掲載される。最近1年間の重要判例は「平成XX年度重要判例解説」(有斐閣より毎年1回刊行)、「法学教室」の別冊付録である「判例セレクト」(ただし刑法の判例のみ)に載っている。なお、これまでの重要判例を、刑法や刑事訴訟法の条文ごとに網羅した公刊物としては、「判例体系」「判例体系[第2期版]」(第一法規)があるが、これらはオリジナルではないので、これからの引用は許されず、公式の判例集から内容を確認しなければならない。

 最高裁判所の判例について詳しく知りたいときは、最高裁判所の調査官による判例解説が有益である。調査官解説は、雑誌「法曹時報」(法曹会)に掲載された後、年度毎の「最高裁判所判例解説・刑事編」(法曹会)に収録される。なお、「ジュリスト」の「時の判例」欄にも調査官による判例紹介が掲載される。最高裁判例についての高水準の研究として、刑事判例研究会(東京大学)によるものも重要であり、「刑事判例評釈集」(有斐閣)として年度ごとにまとめられている(最近のものは「ジュリスト」誌上に発表されている)。


その他

 刑法、刑事訴訟法、犯罪学、刑事政策のそれぞれの分野の教科書、およびその他の参考書や学習用教材については、以下に詳しい文献案内がある他、法学部の学生にとって重要な情報が盛り込まれているので、是非参考にされたい。
「法学セミナー増刊・法学入門」(毎年春刊行, 日本評論社)

 刑事法の文献には、教科書以外にも注釈書、研究書、研究論文などがある。注釈書(コメンタール)は、法典の条文ごとにその規定の解釈を示したものである。


文献の探し方

 文献の探索方法には「芋蔓式」と「網羅的」があり、前者は教科書や参考書に引用されているものを読み、さらにそこに引用されているものに当たり…という方法である。後者は文献リストを用いて、あるテーマについての文献を網羅的に入手しようという方法で、例えば月刊誌「法律時報」(日本評論社)の毎号の末尾に「文献月報」があり、それぞれの分野の最新の文献が載っており、さらに「法律時報」の毎年の12月号は「学会回顧」の特集号で、それぞれの分野の最近1年間の文献をかなり網羅的に紹介している。

 刑事法に関する論文は、次のような文献に掲載されている。一般的な法律雑誌「ジュリスト」「法律時報」、特に学生向きの学習雑誌としては「法学教室」「法学セミナー」、 刑事法の専門雑誌としては1999(H11)年に創刊された「現代刑事法」が重要である。
 また、学会誌(例えば「刑法雑誌」)や、各大学が刊行する紀要 「講座」(例えば「刑法講座1〜6巻」(有斐閣, 1963〜64)、「現代刑法講座1〜5巻」(成文堂, 1977〜82)、「刑法基本講座1〜6巻」(法学書院, 1992-94))や、祝賀論文集、記念論文集、追悼論文集などにも重要な論文が掲載される。

 なお、一般の図書館で使われている日本十進分類法(NDC)での刑事法の分類は326、刑事訴訟法は327となっているので、この番号を参考に図書を探すと良い。


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